酸いか甘いか毒リンゴ5(完)
[仕事の繰言] 王子様は来なかった 指定されたC州yyyは間違いなくA社 (か、仮名なんだからねっ) の本社住所。詐欺への最後の疑念も晴れた。帰国後、さっそくxyz条件に最適化した工具と評価機キットを米国に送りこんだ。通関でトラブったが何とか対応し、「受け取ったよ」のメールがA社評価チームから来た。来たのはいいのだが、それから何の音沙汰もない。 あのエンジニアの興奮ぶりとは打って変わって静かな評価チームだ 。 ひと月ほどして、流石に痺れを切らしたワタシはA社評価チームに催促のメールを打った。「連絡できず済まなかった。キットは返却するのでしばらく待ってくれ」と返事は帰ってきたが、評価結果については何の情報も無いままキットが返却されてきた。冷淡な評価チームは当てにならないので、M氏にメールを打った。結果は「 不採用 」。数回のメールラリーの結果、その理由も判明した。 M氏「 問題はあなたの会社の小ささだ 。当社の製品立ち上げはとてもクイックだ。例えば 『今週50台、来週100台納入しろ』と言われても、対応はできないだろう? 技術的には素晴らしい、そこは誤解しないでくれ。技術者の私としては採用したい。だか 技術とビジネスは別の話 なのだ」 「 会社が小さすぎる 」 この結果を社長に報告したが、少し皮肉に笑って「ここで設備投資してのライン拡大はリスクが大き過ぎるね。深追いはやめよう」。社長の判断は正解だったと思う。 甘い毒リンゴをかじって眠りにつくわけにはいかない。 夢見て眠る愚か者の目を覚ましてくれる王子様は、この世にはいない 。 それで、この工具はどうなった? 中国現地代理店の努力が実り、聞いたこともない中国X社 (えぇ、仮名ですよ) に納入が決定した。そこそこの台数が受注できたのを確認して、ワタシはこのプロジェクトを降りた。「技術で勝ててもビジネスは別」という酸っぱい赤リンゴで腹を壊したから。 (その後このX社がとんでもない急成長を遂げるのだが、それはワタシにはもう関係のない話だ) (完)
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