理解できない愉快な会話

[まあ座れや] 通じりゃ勝ちよ

 中国・台湾への出張が増えた2000年代後半、現地のタクシー運転手が英語を全く使えないのには困った。しょうがないので、英語が使えるホテルのフロントをベースキャンプとして行動する(毎回いったん戻って出直す)のだが、とても非効率。背に腹は代えられず40歳半ばを過ぎで初めて中国語を勉強し始めたが、取り急ぎ結論。無理ゲーっすよ。それでもカタコトとジャスチャーで、何とか中国でタクシーくらいは乗れるようになった。

 そんなある日、長江を挟んで結構な遠距離をタクシーで移動することがあった。出先でタクシーを呼んでもらい、何とか行き先を運ちゃんに飲み込ませる。「好!」の言葉を信じて走り出したが、この運ちゃん結構な話好きで、自分が覚えたカタコト日本語が正しいかどうか聞いてきた。まぁまぁ通じるので「很好」とお世辞を返したら、喜んでしゃべる喋る、、、中国語を

 ガンガン話す中国語の聞き取りもできないが、返事の発音もままならない。そのうち運ちゃんも諦めていったん黙ったが、元来の話好きが抑えられないのだろう、外を指さして中国語で話しかけてきた。もうしょうがない、日本語で、

ワ:「ありゃ、なんだい?」

運:「nashimai西瓜detanzi!」

ワ:「はあ、ウリの屋台か」

運:「要不要maidiandaizou?」

ワ:「いらないよ、だいたい高速道路になんで屋台が出てんだよ」

運:「dei生活ma、わははは!」

ワ:「そりゃ、そうだ。わははは!」

それから急に話がスムーズになり、一時間以上、ワタシは日本語、運ちゃんは中国語で大笑いで「会話」しながら目的地に着いた。料金を支払うときには、ワタシも最後に頑張って「不用找了、辛苦了」。すると運ちゃん、にっこり笑い「ありがとうゴザイマス」。

 アジアの現地人と現地語でスムーズで愉快な会話が出来たのは、あれが最初で最後。
お互い何一つ理解できなかった。
でも、とても楽しかった。

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