上司の度量
[仕事の繰言] 対策は君がやれ
入社2年目に突入してようやく技術屋らしい仕事をさせてもらえるようになった。この時の仕事は試験装置のプログラマの様なもの。数か月もすると流れ作業に近くなっていた。慣れというのは恐ろしいもので、そこでやっちまったぜ大失敗。ワタシのプログラムミスで数百万円の損害と生産ライン停止を引き起こしてしまったのだ。とうぜん上司の課長に呼び出され、ワタシはビクビクしながら報告した。黙って報告を聞き終わると、「この馬鹿たれが!」と一喝。だが、その一言だけ。すぐに隣にいた直属の係長に「xx(ワタシの事)に、そのミスを防止する対策を全力でやらせろ。3日以内だ!」。
もうそりゃ必死。徹夜でアルゴリズムを考え、翌朝コード書き、お昼にデバッグ、検証した対策を係長に説明出来たのが夕方だった。ヘロヘロになりながら課長に報告に行くと、「もう退社時間だから俺は帰る、キミも帰れ。報告は明日の朝一にしろ」と帰ってしまった。あ~ぁ、見捨てられたな。翌朝トボトボ出社すると会議室に呼び出された。そこには上司課長のほかに、部内の他の課長・係長クラスが全員いた。「こ、殺される」とブルっていたら、課長が口を開いた。「これからxx君が対策を説明するから、彼のいう通りに全てのプログラムを組み替えてください」。あ、あの、まだ課長にも説明していないのですケド。
後から聞いた話では、ワタシのやっている事を直属の係長に綿密にヒアリングして納得したらしい。見捨てて帰ったんじゃなかったんだ。今だから分かるが、ミスした人間にリカバーさせるのが一番良い教育方法だ。だが2年目の新人に自由に考えさせてそれを採用する度量のある人が上司だったのは、ワタシの大きな幸運だった。そのうえ課長は、失敗のリカバーをワタシの部内アピールにも使ってくれた。数か月後、ワタシはより高度な仕事のグループに引き抜かれた。「仕事の『真の報酬』は次の良い仕事」。そこまで(無言で)教えてくれた課長だった。
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