夫婦喧嘩は犬も食わない

[まあ座れや] 上海飯店

 聘珍樓が今年(2025年)破産したとのニュースを聞いて、横浜中華街にある小さな料理屋さんをふと思い出した。

 80年代後半には暇つぶしで良く出かけていた横浜中華街。ある雑誌で「『牛バラ飯』の旨い店がある」という記事を見て訪れた、町中華風の小汚い小さなお店のお話だ。雑誌では「厨房のなかでやっている中国語での夫婦喧嘩を聴きながら食べる牛バラ飯はうまい」てな話だったが、まぁどうせ話を盛っているんだろうとタカを括っていた。が、いやはや本当に中国語で夫婦喧嘩してるわ。数名しか入れないカウンター席の他のお客さんも苦笑いしていたから、そのお店、料理よりも中国語の口喧嘩がメインイベントのお約束だったようだ。

 時は流れ、2005年に初めて上海に出張した時に「あの『口喧嘩』スタイルは中国語会話のスタンダードだったのね」と気づいた。この出張で簡単な中国語会話の必要性を感じ、遅ればせながら40歳過ぎで中国語の勉強を始めたが、声調(四種類ある、単語のイントネーション)をちゃんと発声しないと意味が通じない事が分かった。例えば「買う」と「売る」が同じ発音「マイ」、これを声調だけで区別しているのだからもう大変。ワタシにはこの声調がどうしても体得できず、中国語習得は諦めた。

 中国語発声の仕組みがそうなっているので、日本語に比べてかなり大声で勢いよく喋らないと中国語の会話にならない。インバウンドで訪日の中国人同士の会話が日本人にはうるさく聞こえるのも止むを得ないのです。あの町中華での夫婦喧嘩も「派手な口喧嘩だなぁ」とその時はビックリしていたが、中国語発声原理を差し引けば、「喧嘩」の部分はせいぜい3割くらいじゃなかったか。まぁどのみち夫婦喧嘩は犬も食わないけどね。

 そういや、肝心の「牛バラ飯」はいまいちだった。懐かしくなって調べたら店は息子さんが引き継いでまだ営業中らしい。「上海飯店」、ああ、そんな名前だったな。

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