酸いか甘いか毒リンゴ2

[仕事の繰言] 赤リンゴ青リンゴ

 女が話しかけていた現地代理店E(仮名)の社員は実は「総経理」で、さすがに「E社飛ばし」の話は出なかった様だが「深圳のF工場(仮名です)で使いたい」という話をしていた。E社総経理が女から渡されたA社(仮名ですからね)のリンゴは青かった。

私:「ロゴの色が違いますね」
総:(総経理は流暢な日本語が話せた)「A社の名刺には他に黒・銀・金リンゴもあるって話を聞いたよ。そうそう、黄色もね。そうやって、渡した名刺の流れを追跡できるようにしているという噂だけど、ホントかなぁ」
私:「深圳への連絡はお願いできますか?」
総:「まぁ今は技術的な検討だろうから、最初はそちらで勝手にやってくれ。A社なら英語で問題ないだろ? でも、あまり過剰な期待をしないで。この手の話は9割がた上手く行かないからさ」
そして少しためらってから、
総:「装置屋仲間からは、あまりいい噂を聞かないしね」

 日本に帰り社長に報告すると、いつもは飄々としている彼も流石に興奮した。しかし「装置メーカーは使い潰される」という噂も知っていた。「あそこは最初は勢いが良いのだけど、工場生産の乱高下で下請けが振り回される、という悪い話も聞くんだ。ちょっと慎重にいこう」。さすがはリーマンショックを生き抜いてきた中小企業の社長である。喰えないオヤジだ

 2か月後に台湾への出張の予定だったので、代理店廻りの後に深圳に飛ぶスケジュールを「上海の男」宛にメールで打診したところ、彼から早々に返信がきて、日時と場所、コンタクト先のエンジニアの名前が確定した。現地のE社総経理からは「ヤバくは無さそうだ詐欺、誘拐?!ではないだろう」との判断がもらえたので、社長も同行する事になった。

 モノゴトの流れとは面白いもので、この数週間後、国内某装置メーカーを全く別件で訪問するのだが、期せずしてその「使い潰し」の話を聞くことになる。

(続く)

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