酸いか甘いか毒リンゴ4

[仕事の繰言] This is it!

 まだ商談の入り口にも立っていない状態で不安がっていてもしょうがない。「ともかくA社(仮名ですよクドいけど)につながってからの話だ」と社長は前進を指示した。

 さて、満を持して渡った深圳。夕方に指定のビルを訪問する。いまだにあれがオフィスだったのか居住用ゲーテッド・マンションだったのか分からない。厳重な警備を通過してフロントで来意を伝える。最初は「ふん!」といった態度だったレセプションのお兄ちゃん、電話で何やら確認すると、いきなりの手のひら返し。「お待ち申しておりましたxx(ワタシ)様!どうぞこちらへ」と専用エレベーターに案内される。到着したのはペントハウスの豪華なロビーで、どうぞこちらへと案内されたこれまた豪華な応接室でA社エンジニアが待っていた。こちらは名刺を出すが、彼は名刺を持っていない。「Mです」と握手の手を差し出すと、外交辞令も無くいきなり単刀直入に会話が始まった。

M氏:「xyzの条件で加工が出来ずに困っていて試行錯誤している。解決できる工具の様だと紹介された」
ラッキーな事にxyz条件での加工ワークを想定したデモ動画も作ったので、それを見せる。
 M氏:(食い入るよう見つめて)「もう一回再生してくれ」「ここで止めて!」「いまの場所スローに出来る?」「もう一回!」「別の角度はある?」
ものすごい喰いつきで、PC画面に穴が開く勢いで動画をガン見している。
M氏:「何故こんな制御が出来る?」
そこで工具のプレゼン資料を説明すると、コントロール原理の部分で半分腰を浮かしかけ、 
M氏:「This is it!
と叫んで、社長とワタシに握手を求める。
M氏:「これだっ、これを探していたんだ!早速、C州(米国の本社所在地)にデモ機を送ってくれ、評価チームに連絡しておく」

後で社長に聞いたが、「This is it!」と握手の瞬間に「これは、映画か?」と思ったそうだ

(続く)

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