数字は嘘をつかない、が

[まあ座れや] 自分を騙したい

 ある小さな会社でISO9000の管理を請け負った事があるが、その仕事は気持ちが良いほどに「無意味」だった(もうISO9000は廃止した方が世界平和のためだと思うのだがね)。だが「無意味」もここまで突き抜けるとゲームにできる。特に「数値化し、分析し、対策を練る」という部分は意外にも理系にピッタリ。うまくトップを丸め込んで、暫くは「合理的なルール設定で、数字で遊ぶ」ゲームを楽しんだ。

 ある日、社長が管理数値に「社員の能力評価」を入れたいと言い出した。ワタシなりに考えた評価シートを作ってみたが、社長はそのシートへの評価数値記入まで求めてきた。「そこは人事の仕事でしょ?」「こういう数値評価方法は初めてなので、xxさん(ワタシ)の経験を使いたい。協力して」。止むを得ず期末に評価を行い社長に報告したが、その数値にいろいろ難癖をつけてきた。この評価は外せ、この評価項目を追加しろ。まぁ初回だし、それは分かる。だが数回応答を繰り返すうちに、「社長が持っているイメージ」に数値の方を合せ込んでいる事に気づいた。早い話が「俺のお気に入り社員の数値を高くしろ」だ。それならそう言えば簡単に済むのに。でも、合理的な評価というタテマエだけは外したくないらしい。結局「お気に入り社員」の高評価数値を捏造して終わったが、その数値を使ってボーナスの額を決めたから冗談じゃない。しかもその数値を社員には見せず、会議で「客観的合理的な評価を行った」と得意げに宣言。何のことはない、ISOの仕組みを使って「自分で自分を騙したい」だけだった。

 「数字は嘘をつかないが、嘘つきは数字を使う」という格言があるが、他人を騙しているうちはまだイイ。本当の嘘つきは、数字で「自分を騙したい」のだ。自分を騙した挙句、その嘘を奇麗に忘れて責任を他人に押し付ける。彼は「社長にしてはいけない社長」だった。だが悲しいかな、数字で遊んだワタシも同罪だ。

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