シンガポールのバックヤード1

[まあ座れや] 「イケアに行く」ということ

 イケア原宿・新宿が閉店するというニュース(@2026/2)を見てふと思い出した。2011年ころに台湾半導体企業の営業職だった時の事だ。

 ある国内半導体企業の顧客をシンガポールの工場へ案内する事になり、訪問数日前に先行してワタシ一人でシンガポールに入った。深夜便だったので、空港から宿泊先のドミトリに向かうタクシーの窓からはこれといった景色は見えない。そのドミトリの周りには中国風の廟があるだけでお店など何もなく、下手すると日本のド田舎より寂しい感じの粉っぽい殺風景な場所で降ろされた。日本のメディアで見る「華やかなシンガポール」は影も形も無い。まぁ工業区画だからな、こんなものか。

 翌朝、ドミトリから工場の有る工業団地へ向かうシャトルバスに乗っていると、巨大なイケアの脇を通過した。それはそれは大きなショップだ。工場での打ち合わせのあと、工場駐在の台湾人にそのイケアについて聞いてみた。

 「途中でものすごく大きなイケアを見たよ、シンガポールでもイケアは人気なの?」
 「あぁ、『ビンボー人のディズニーランド』だな。人気だよ。
        休みに行ける安い場所は、シンガポールには他に無いからね」
 「?」
 「週末をシンガポールで過ごさなければならない貧乏な出稼ぎ連中には、イケア
        しか時間を潰す場所がない。あそこなら冷房は効いているし、フードコートで
        安く食事ができる。貧乏人同士でおしゃべりして週末を過ごすのさ」

 ワタシの宿泊したドミトリの場所は、出稼ぎ労働者が集団で宿泊する寮が集中している区画にあるらしい。シャトルバスに乗っていた人たちの雰囲気が何となく暗かったのは、皆さん出稼ぎ労働者だからなのか。ほとんどが若い女性だったのに笑い声も明るい会話もなく、ちょっと異様な感じだった。

 その駐在員は少し同情を込めてこう言った。「シンガポールの奴隷たちだね」。

(長くなったので、次回へ続く)

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